【ビネカ・ムダ・サヌール】バリコーヒーの老舗、ビネカで美味しいコーヒーを

ビネカ・ムダ・サヌールの外観

バイパスからサヌールのメイン通りに行く際に通るダナウ・ポソ通り。最近ではサヌールの町が拡張し、こちらの通りのほうにもレストランやカフェ、ホテルなどができてきています。ちなみにサヌールの道の名前には湖の名前が使われていることが多いのですが、このダナウ・ポソというのもポソ湖という湖の名前です。(ポソ湖は遠くスラウェシ島にある湖で、インドネシアの湖では3番目に深い湖だそうです。)

さて、このダナウ・ポソ通り。お店の前のテラスは、緑の木々が茂っていて、車で通ると見逃しがちですが、よく見るとテラスでは若者がコーヒーを飲んだりパソコンに向かっていたり。のんびりとくつろげそうな雰囲気のよいカフェがありました。

ビネカ・ムダ・サヌールの外観

時間のあいた午後に立ち寄ってみると、お店の名前はビネカ(BHINEKA)となっていました。サヌールのダナウ・ポソ通りにオープンしたのは半年ほど前とのことですが、デンパサールにあるバリ島で一番大きな市場、パサールバドゥンの近くで1935年からコーヒー豆を販売しているビネカ・ジャヤ(BHINEKA JAYA)が本店で、デンパサールのムルデカ通りの支店、ビネカ・ムダ・ムルデカ(BHINEKA Muda Merdeka)、そして一番新しいのがこのビネカ・ムダ・サヌール(BHINEKA Muda Sanur)なのだそうです。

古そうな木の看板、打ちっぱなしのコンクリートの壁、レンガをむき出しにした柱、ブリキの食器や少し前によくあった丸椅子など、インドネシア・レトロな造りです。木々が茂っていて涼しげなテラス席と冷房の効いた店内のダイニング席とがあります。

ビネカ・ムダ・サヌールのテラス席

「注文は店内で」という案内があったので、店内のカウンターで先に注文、支払いをします。メニューには各種のコーヒーをはじめドリンク類を中心に、ローカルの定番料理、お粥やソト(スープ)、そしてワインやビールなども用意されています。カウンターの前には、バリのお菓子やスナックなどもあります。バリ島にはスターバックスなどのコーヒーチェーン店や観光客向けのコーヒーショップなどがたくさんありますが、そういったお店に用意されているスナックや食事とは異なり、慣れ親しんだバリのお菓子と食事があるところにオーナーさんのローカル愛を感じます。

ビネカ・ムダ・サヌールのカウンター


好きな席に座っていると、コーヒーをドリップしている音が聞こえて、ほどなくしてオーダーしたものが運ばれてきました。

ビネカ・ムダ・サヌールの店員さん

左:カプチーノ Rp20,000+10% 右:タロラッテ Rp15,000+10%

このビネカは、バリ島で最も有名なコーヒーブランド、クプクプ・ボラ・ドゥニアを販売しているお店です。クプクプ・ボラ・ドゥニアとはインドネシア語で蝶(クプクプ)地球儀(ボラ・ドゥニア)のことで、蝶と地球儀のマークがついたコーヒーを免税店や、お土産屋さん、スーパーなどで見かけたことがあるのではないでしょうか?バリ島に来た際にガイドさんから「バリのコーヒーなら、ちょうちょのマークのがよいですよ」と勧められることもあると思います。品質は確かで、価格もほかのブランドより少し高めです。

クプクプ・ボラ・ドゥニアのコーヒー
クプクプ・ボラ・ドゥニアの製品

クプクプ・ボラ・ドゥニアの歴史を紐解いてみると、中華系インドネシア人のチャハディ一家が、バリ島のコーヒー農家からコーヒー豆を買い付け、独自に焙煎し、バリ島の商いの中心であるデンパサールのガジャマダ通りのお店、Bian Ekで売り始めた1935年に遡ります。ユニークなコーヒーの風味がデンパサールの人々に受け入れられ、Bian Ekは瞬く間に、地元の人たちのお気に入りのコーヒーとなります。それでも、創業者のチャハディ一家は慢心せず、焙煎の技術を改良し、よりよい品質のコーヒーができるよう努力を続けていきます。

ビネカ・ジャヤ
デンパサールのガジャマダ通りにある本店、ビネカ・ジャヤ

その後、Bian Ekは、創業者の息子、ジュイト氏に引き継がれ、近代的な機械の導入や、販売・流通の経路を拡張し、その衛生基準や徹底した品質管理でバリ島でナンバーワンと評されるコーヒーブランドに成長していきます。また、コーヒー豆だけではなく、家庭でも豆が美味しく轢けるドリップの機械を開発するなど、多角面で美味しいコーヒーを追及していきます。

現在は創業者の孫、つまり3代目ウィラワン氏が指揮をとっており、クプクプ・ボラ・ドゥニアというブランドで、国際的なマーケットに参入するまでになっています。

そんな、大きな会社となったビネカが(店名は最初の中国語、Bian Ek から途中で、Bhinekaに変わっています)、今なおデンパサールやサヌールなどのローカルエリアで、地元の人が気軽に楽しめるコーヒーを提供してくれているというのは何とも粋な感じがします。デンパサールとサヌールのビネカ(ビネカ・ムダ・ムルデカと、ビネカ・ムダ・サヌール)はウィラワン氏の息子(4代目)が経営しているとのことで、いずれも店名にMuda(若い)という単語が入れられています。若い次期経営者が、国際的に成長してきた同ブランドをあえてローカルに向けて発信しているのは、地元を大事にしたいという思いがあるのではないでしょうか。

美味しいバリコーヒーにバリのお菓子。ローカルに愛されるものは各国からの旅行者にも愛されることでしょう。

Bhineka Muda Sanur
Jl. Danau Poso No.115, Sanur
営業時間:10:00-23:00
取材時:2020年2月
内容、料金などは取材時点のものとなります。

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