「サヌール名物」ダナウタンブリンガン通りの葬儀セレモニー行列!

年間を通して平均、月4-5回、観光地サヌールのメインストリートであるダナウタンブリンガン通りを、短い時間封鎖して、バリヒンドゥーの葬儀行列がある。多いときには1日に複数組で連日通る暦のときもある。この日程や時間が数か月前より調整できれば、サヌールは世界的な葬儀ツーリズムの観光地となっていたに違いありません。現在でも1つの葬儀日程を数か月前から、時間も含めて設定したり約束するのは無理なイメージです。ただし、サヌールに週単位で滞在する欧米人は葬儀行列をみられる可能性は高いと思われます。(観たければ、直前には日程がわかることが多い、あとはそのバンジャールに連絡して当日、当日の時間を把握します)ウブド王族の仮想セレモニーには何万人ものツーリストが見物して、大変有名ですが、サヌールの普通の葬儀はあまり知られていません。

しかしその豪華さは日本でいえば年1回のお祭りのお神輿や山車を一緒にしたくらいの豪華さ、だいたい葬儀なのにお祭りなのか?と、やはり葬儀行列はドンドンと生楽器演奏や派手は服装、全体の勢いからいって、明らかに祭りに近いのです。

ここで、失礼な発言をするな、そもそも葬儀を見世物にするとは何事か!など、お叱りの声も聞こえてきそうですが、バリ島の葬儀はツーリズムとして、国、バリ州、バリヒンドゥー、などで十分にコンセンサスが取れています。また、観るほうであるツーリストの立場として、「失礼」ではなく、参加たく、盛り上げる意思があれば、葬儀行列を「表現」として、楽しく感銘をうけながら鑑賞することは問題ないと思われます。

ただし、先進国地域から来ると死者を冒涜しているとか、静かに礼儀正しく見送るべき、と発想しますが、バリ島の葬儀行列の鑑賞は冒涜でもなく、無礼でもなく、ツーリズムの一形態として、楽しくダイナミックに参加できると考えます。

また、ツーリストはここから、先進国の自身の国地域(日本も含む)でな葬儀はなぜ、厳格で静かで深刻な悲しみを必要するのか?という疑問が発生し、原始共同体により近いこの葬儀は、なぜお祭りのような表現なのか?と同様の疑問が出ます。深刻な悲しみの表現とお祭りの表現は正反対のイメージです。私たちの祖先の葬儀も現在ほど深刻で礼儀が多くあったとはおもえません。もっと病人や死者が頻繁に出て、簡単な葬儀で、「死」そのものが身近であったゆえに、「死や死者」をそれほど、遠く離れた、わけのわからない存在に祭り上げる必要もなく、日常の中に死が溶け込み、実際近親者がなくっても、現在ほどの衝撃(ショック)を受けなかったのではないでしょうか?

ちなみに動物の犬や猫は近親者の死に対してそれほど悲しみません。というより彼らに死は存在しません。よって、現代人は死を遠いかなたの、全くわけのわからない恐怖の対象と捉え、死や死者がある、葬儀を恐怖すべき畏怖すべきものとして、より礼儀を深め、より祭りの喜びとは反対の悲しみや恐怖を増進させてきました。おおよそ近代世界はこんな方向の社会なので、私たちはお祭りのような葬儀に出会うと、知性もつ人間ほど、より大きな違和感を感じるはずです。だからといって先進国の葬儀参加者が不幸ですね、とかの話ではありません。ツーリズムなのであくまで葬儀ツアーに参加された方は自身が生まれ育った社会の考え方とは全く違う世界がある、と確信できるはずです。少なくとも自分自身が正反対のお祭り葬儀に参加して、この感覚はなんだ?この死者の周辺で騒がしく、楽しくするの感覚は?一部の発想として、これが死者と死を歓喜で対応してもよい、と考えられます。

つまり悲しんで絶望して死を迎えるのではなく、喜び騒がしく死をむかえる発想です。これはバリ島の葬儀にとどまらず、日本おいて自身の死、に置き換え、自分が死に直面した際、騒がしく歓喜をもって受け入れても構わないことがわかります。宗教信仰のテキストでは人間が死んだあと、喜ばしく天国に行ったり、喜ばしく生まれ変わったりと、各物語がありますが、いずれも「喜ばしく死んでいい」と教えてます。物語は別として、悲しみ恐怖するだけより、喜んで死んでよいと思われます(なかなか完全にはできなそうですが)このように深読みすると、バリ島の葬儀ツアーから、自身も歓喜をもって死んでも一向に問題がないことに気がつきます。それはバリヒンドゥーの物語を知らなくとも、葬儀の様子だけで、確信できます。葬儀ツーリズムばかりではなく、旅行自体、普段には全く触れられない発想に触れ、人生や生命を根本から見直し確信する、きっかけに満ちている時間だと思われます。バリ島の葬儀を見に行きたい、と少し思った瞬間から、すでに大きな変化が始まっているのかもしれません。

 

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