これまで、バリ島の海外からの観光客の受け入れ時期については、2020年9月11日からと計画されていましたが、先週の土曜日(8月22日)、バリ州知事はこれを少なくとも2020年末まで延期することを正式に発表しました。
1. これまでの経緯
バリ島のニューノーマル下の観光政策は第1段階がバリ島内の観光客の観光開始、第2段階がインドネシア国内からの観光客の受け入れ、第3段階が海外からの観光客の受け入れ、とされていました。第1段階、第2段階については予定通り実行されましたが、9月11日からと予定されていた第3段階の海外からの観光客の受け入れについては延期ということになりました。
8月中旬に政府の海事・投資調整大臣がインドネシアは年内は海外からの観光客を受け入れるべきではないという話があり、その後、このことについてバリ州知事からの談話はなく、バリ島だけ独自で海外からの観光客を受け入れる方法を模索しているのか?と思われていましたが、この度、バリ州知事も海外からの観光客受け入れの延期を正式に発表したという形です。
2. 海外からの観光客受け入れ延期の趣旨
8月22日付けのバリポストに掲載された知事の発表の内容をおおまかにまとめると、以下の通りです。
1. コロナの感染拡大以降、バリ島の経済は2020年の4-7月期では10.98%のマイナス成長となっており、観光業での解雇は2,667人、自宅待機は73,631人となっている。
2. これまでバリ州と各県はニューノーマル下のプロトコルに基づき、段階的に観光客の受け入れを進め、成功してきた。バリ島内の観光、インドネシア国内からの観光客の受け入れにより、バリ島内でコロナ感染が拡大したということはなかった。
3. 7月31日にインドネシア国内からの観光客の受け入れを始めてから、8月14日までの間、ングラライ空港への到着者数は1日2,300人から2,500人となっており、空港の利用率は前月比100%以上の増加となった。
4. しかし、9月11日からの海外からの観光客受け入れについては多方面から再度、熟考する必要がある。
5. 例えば、現在、インドネシアでは外国人に対しての短期滞在ビザの発行を停止しており、インドネシア国民の海外への観光も少なくとも2020年末までは禁止している。
6. 同時にインドネシア自体もコロナ感染のレッドゾーンで、海外からの観光客をバリのみならずインドネシア全体で受け入れられる段階にない。
7. 一方、他国をみても、自国民の海外への観光を許可している国はない。バリ島への渡航者として一番多い、オーストラリアでは、国民のバリ島への渡航は2021年からとしている。中国や韓国、日本、ヨーロッパの国々も同様である。
8.インドネシア政府はバリ島の観光業の回復を後押ししているが、海外からの観光客の受け入れについては、あせらず慎重に検討する必要があるとしている。
9. 世界的な観光地であるバリ島の観光回復には、国際社会においてインドネシアとバリ島が信頼されることにかかっている。観光業の回復に際して失敗することがあれば、インドネシアやバリ島に対するイメージが落ち、逆効果になってしまう。
10. そのため、インドネシア政府はバリ州に対し、バリ島の観光が順調に回復できるよう、熟考が必要だとし、現段階では観光回復のための手順やシステム、インフラを整備し、同時に、島内でのコロナ感染を食い止めることを求めている。
11. 海外からの観光客の受け入れ時期については、インドネシア国内、国外の状況によるため、言明はできないが、バリ州は年内のうちはバリ島の観光業と経済の回復のために今後、海外からの渡航者が来島できるための最善の努力をしていく。
ということで、残念ながら外国人旅行者の受け入れについては延期ということになりましたが、現状から見れば至極最もな判断であるといえるでしょう。コロナ感染の状況が世界的に落ち着くまではバリ島に限らず、海外への旅行はできそうにありませんが、あせらずに今できること、楽しめることに目を向けていきましょう。