先日、9月16日(水)はバリ・ヒンドゥーの大切な祭日、ガルンガンでした。ガルンガンは210日が1年のウク暦に基づいているため、西暦で考えると1年に2度(場合によっては1度)めぐってきます。ウク暦の1ヶ月は35日のため、ガルンガンは西暦では必ず水曜日になります。
ガルンガンは、世の善(ダルマ)が悪(アダルマ)に打ち勝ったことを祝い、神々や祖先の霊が地上に降り立つ日です。各家で家の前に建てるペンジョールは、竹竿に装飾を施したもので、祖先が戻ってくるための目印になるといわれています。ガルンガンに戻ってきた祖先の霊や神々は、10日後のクニンガンに、天界に戻ります。
つまり、ガルンガンからクニンガンにかけては、バリ島には天界から神々や、祖先の霊、精霊などが舞い降り、神々しい空気に包まれているのです。実際、ガルンガンの最中にバリ・ヒンドゥーの村を通ると、通りの左右からペンジョールが垂れ下がる様子は美しく、ペンジョールの門を通りぬける際には清清しさを感じます。
ガルンガンの前日は、プナンパハンと言われ、ガルンガンのための準備をする日です。この日は村のあちこちで豚を潰し、何軒かで豚肉を分け合い、ガルンガンのためのご馳走を作ります。町などでは豚を潰すことはなく、市場で豚肉を買い求めますが、豚肉屋さんは行列になります。市場もガルンガン用の買い物をする人たちでとても混み合います。
ガルンガンの当日は、正装をして、各家に関連のあるお寺にお供えを持って回り、お祈りをします。私の住んでいる家のすぐ近くにバリ・ヒンドゥーのお寺があるのですが、当日は、白いクバヤを着た女性たちがお供えを持って通り過ぎていきました。マスクをしないでの外出が罰金の対象になったため、皆、マスクを着用しています。
ガルンガンの日は、お店も休みになることが多く、開いていても買い物客がほとんどおらず、ふだん賑わうメイン通りは、車やバイクの往来が少なくひっそりとしていて、日本の元旦の朝を思い起こさせます。
翌日は、マニス・ガルンガンといって、親戚や知人を訪問したり、家でゆっくりして休養する日です。家族で遊びに出かけたりする人も多いです。
今回のガルンガンでは各お寺の入り口には手洗い用の水の入った容器が用意されたり、お寺を訪れる人はマスクを着用したりと、コロナ対策が取られていました。8月の終わりごろからバリ島内での感染が拡大していて、宗教行事での感染も見られることから、バリ州宗教調和フォーラムは、ガルンガンに先立って、新型コロナウイルス感染拡大下での宗教活動及び集会等の規制に関しての回書を関係各所に送付しました(在デンパサール日本国総領事館のホームページより抜粋)。
その内容は、
● 宗教儀式等の延期、もしくは開催時の人数制限やマスク着用、ソーシャルディスタンス保持の励行。
● ガルンガンに際して、宗教行事等の開催が予想されますが、新型コロナウイルス感染予防の観点から、可能な限り出席を見合わせ、多人数が集まる場に出席される場合は健康プロトコルの励行。
となっています。
バリ島での感染収束と同時に、世界各地での感染が収束するよう祈るガルンガンとなりました。